その1 おでん

こんにちは。ただいま佐藤のヨメです。

毎日こごえる寒さですね。
こう寒いと、恋しくなるのが鍋物ですね。

鍋って、食べるとあったまります。
でも、作ってるときも、あったかいですよね。
特に、おでん。
おでんは、私にとっては料理でもあり暖房でもあるんです。本気です。
ほわっと湯気が上がる程度の火加減で気長に、ことこと。
とろ火と湯気のおかげで、台所および続きの部屋が
ずっとほのかにあったかい。
換気扇強めに回しながらだと寒いですけどね。

時間のあるとき限定ですが、おうちでイチから作ってこそ、
あったかメニュー日本代表「おでん」の真骨頂発揮。
ということで、金土の2日がかりで作りました。

今回のおでんのコンセプトは、ずばり、食べ飽きないこと。
つまり、これがあればずーっと呑めると思えること(笑)。
そこで、あごだしのすっきりと澄んだ旨味をメインに
鰹や昆布などの旨味を足してみました。
使ったのは、長崎の中嶋屋さんのあごだしと混合だし。
パックで使いやすく、塩や調味料を添加していません
あえて下線を引いた理由は、また後ほど。

昆布とパックを浸水させてから火にかけて、
沸騰直前に昆布だけ取り出し、だしパックはしばらく煮出す。
上品かつ深みのあるいい香りー。おだしの色も澄んでてきれいー。

よしよしセオリー通り、と気分よくやっていたら、
腰回りをボリボリ掻きながら
キッチンに侵入してきたダンナが不意に、

「あんなー、だしパックは沸騰してから入れると
雑味のないだしがとれるねんてー」

…おいこら。はよ言え。

でも、じゅうぶんすっきり美しいおだしが無事ひけたところで。
適量のお酒と塩、薄口醤油、あとコク出しに
少量のお砂糖を入れて、ごくうすく味をつけます。
その横に、水に昆布とだしパックを投入しておいときます。

同時進行で、玉子です。
いつも新鮮な美味しさをTKGで堪能する
栃木のワタナベファームさんのうみたて有精卵ちゃんを
10個ほど惜しげもなく固ゆでにします。
殻をむくときにわかる、中からはね返してくるような
プリッとした密度と弾力、白いつやつや感。
そのまま塩ふって食べちゃいたい衝動を必死で抑えます。

練り物は、石橋蒲鉾店さんの、ちくわ、いわしつみれ、
やさい天、いか天、ごぼう天、上天を
鍋に投入する前に熱湯にくぐらせておきます。
どの子(具)もプリプリ、新鮮なお魚のいいお味が出るはず。

あと、大根と、ちくわぶと、こんにゃく、結びこんにゃく、
エリンギなどをスタンバイしておきます。

準備が整いました。いよいよ入ります。
具材をおだしをはった鍋に入れ、
弱火にかけて、ときどき見守りながらひたすら待ちます。

決して、煮立たせない。

ときどき、水出ししているおだしをかけてあげて、
鍋の上の方で顔を出している子をかわかさない。
かまいすぎず、でも適度なお手当ては大事です。

そして待つ。

がまんして待つ。

もうちょっとがまんして待つ。

途中で差すおだしは、だし素材以外の、
たとえば塩や調味料が添加されていると
おでんがどんどん塩辛く、あるいはしつこくなってしまいます。
だから、それらが添加されてない
だしパックのほうがいいと思います。(なので下線部)
市販のだしパックの中には、塩やなんちゃらエキスや
なんちゃら加水分解物などが、
しれっと添加されていることがままあるので、
よく見て選ぶのがいいです。

日も暮れて、どの子もいいかんじに
おだしとなじんできました。でもその日には食べません。
一晩休ませて、翌日いただきます。

で、翌日。
朝からめちゃくちゃ寒くなりました。
なんというおでん日和。

 

具材それぞれからの旨味が
時間をかけて渾然一体となったおだしを吸って、
大根も玉子も練り物もこんにゃくもなにもかも、
おいしい。食卓がしばし無言。

そのうちせがれが、もぐもぐしながら
ママー、あっつ、あのさ、おでんさ、あっつっ、
おいしいねええ、ずーっとたべていられるね、
とおほめの言葉をくださいました。
ママはこれがあればずーっと呑めるな(笑)。

下ごしらえを念入りにしたら、
よけいなことはせずに、目配りはしながら、
時間をかけて仕上がりを待つ。
おでん作りは、子育てみたい。

おでんにかぶりつくせがれを見ながら、
そんなことを思いました。

みなさまどうぞ美味しい人生を。